生涯未熟

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プログラミングをちょこちょこと。

京大型カードのススメ 「知的生産の技術」 - 梅棹忠夫

知的生産の技術 (岩波新書)

久々の読書感想を書いてみる。


知的生産の技術という昔から沢山の方々に読まれている名著をやっと読むことが出来た。
ちなみに個人的には「知的生産支援の技術」の方がしっくりきそうな感じがするが、タイトルについて湯川秀樹氏が口出しをしたというのだから、私のようなぬる大学生が口出し出来ないだろう。



内容をざっくり解説すると、著者の梅棹忠夫氏が「研究の場において合理的に開発したテクニックを日常生活にも活かせるんじゃね?」という思いから日常の様々な場面においての活用方法が提示されている。
その問題のテクニックとは著者が開発した「京大型カード」を用いたテクニックである。


京大型カードとは今までに見たことのないようなB6判という判型で、適度な罫線が引かれたちょっと硬いカードである。
作者がノートや手帳など様々な媒体のメリット・デメリットを分析し、試行錯誤の上編み出されたカードであるから便利じゃないわけがない。


実を言うと私は三年前ほどには京大型カードを使っていた。
しかし、私の活用法が悪かったのか思いのほか使い勝手が悪いと感じ、思い切って買った大量のカードが残ってしまった。(言い訳ではないが、京大型カードを適当に勧めた某書が悪かったのだ)
京大型カードに対しての期待が無くなったわけではないが、何分他に無いこの微妙なサイズのカードの活かし方がさっぱり分からなかったのである。
そして、本書と出会ったことにより私の京大型カードへの期待感は本物だ!と改めて実感させられた。



詳しい活用法は本書を読んでいただきたいが、一つ紹介すると住所録から派生したものを作成するのに役立つというものがある。
「住所録は成長するものである」という通り、交流関係が増えていくごとにその管理も難しくなるが、それを解消するために京大型カードを用いるというもの。
まだまだ社会的な他者との交流にはアトム型のメディアが用いられているので、この方法は今でも活躍することであろう。



そして様々な活用法が載っている本書を読んで私が新たに考え出した活用法が「evernoteによる京大型カード活用法」である。
まず、京大型カード整理法の明確な欠点として「タグ付けはするが検索速度が遅い」という点がある。

これを克服するためにevernoteのタグ付け機能を活用する。
どうするかというと作成した京大型カードを写真で撮り、それをevernoteのノートにしてタグ付けするのである。

こうすることで、evernote内で文章検索やタグ検索も一瞬で出来、それを京大型カードを使うことへ応用が出来る。



この方法では「なんのために京大型カードに書いているか分からない」とも言われそうだが、やはりデジタルで出来ないことは多く、アナログを一旦デジタルへ退避させ、それをまたアナログへ戻すような操作が今回編み出したこの方法である。
決して間違ってはいけないのはデジタルが中心ではなくアナログが中心であること。



さらに京大型カードについてのみだけでなく、「整理法」・「読書法」・「日記記述法」などなど様々なことに対して京大型カードを絡めながらお話されているので、かなり読み応えのある一冊である。


それにしても「将来パソコンを使う技術が確実に必須な基礎教養になる」という一文に恐ろしく驚いた、だってこれ初版が1969年なんだぜ・・・
素晴らしい慧眼を持った著者の梅棹忠夫氏にただただ驚き。


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